気が付けばラズロの事ばかりを考えている。
あの海のように青い瞳に見詰めて欲しいとか、剣を扱う為に節くれ立ったあの手に髪を撫でて欲しいとか、本当に下らない、詮無い事ばかりを考えてしまう。
なんだろう、自分は無くしてしまった家族を彼に求めているのだろうか。ラズロの事ばかり考えるようになった自分に気付いた時、俺はそんな事を思った。
同じ真の紋章を持つ者だから、彼奴なら好きになっても…家族と対する様な感情を持っても大丈夫だと、彼奴ならソウルイーターに食われる事無く俺の傍にいてくれると、そんな打算的な感情が無かったとは言わない。
俺はもう独りで居る事に耐えられなかったんだ。
誰でも良い、誰か俺の傍にいてくれる人が欲しかった。
俺は一人じゃないんだと、優しく言ってくれる人が。
家族が欲しかった。
死んでしまったじいちゃんみたいに、俺の頭を優しく撫でてくれる人が欲しい。
村の人たちみたく、俺の目をじっと見て話をしてくれる人が欲しい。
でも、そんな人はあっという間に死んでしまう。
俺の相棒がその優しい人の命を刈り取ってしまうんだ。
俺がどんなに居なくならないでと願っても、彼等は俺の前から、この世から消えてしまう。
もう嫌だった。
優しくしてくれる人を殺してしまう自分も、此の紋章も。
直ぐに死んでしまう優しい人たちも。
俺の心をこれ以上傷付けないで。
目に見えない傷が出来て、その傷から不可視の血が止め処なく流れ出ても、誰もその傷を癒してはくれないのだから。
俺はたった独りでその傷を抑えて生きていかなければいけないんだ。
治ってなんかくれない、上から新しい傷が付き過ぎて以前の物が分らなくなっているだけだ。
だから、傷の舐め合いでも良い。俺の傍に居てくれよ、ラズロ。
「一生の…お願いだから……」
傍に居てくれ、誰も居ない部屋に、誰にも届く事のない俺の本音が零れた。


“独りは寂しい”



※ 家族愛以外の愛を知らないテッドとかも萌えます。あと、人恋しいくせに人に近づけずにやきもきするテッドとか。
友愛も恋愛も知らないから、自分がラズロに求めているのが家族の代わりだと思い込むテッドとかどうですか。