葱に、此の話を判り辛いか聞いてみたら 『王子が電波(笑)』と言われたので、こりゃあ説明つけんと王子に言われ無き汚名がついてしまうと思ったので、とりあえず設定を書いておきます。 とりあえず、この話は王子が電波なんじゃなくて、書いた人が電波なのです。 (言い訳)設定 ○基本は王子とロイは何度も生まれ変わってるっていう設定。 …もう、この時点で電波ゆんゆんですね。 ついて来れない奴は置いてくぞー!(自棄) ○一番初めに生まれたとき、王子とロイは双子でした。 双子って輪廻転生とかの話だと、魂が二つに別れて生まれてるんですって。だから、「魂の片割れ」発言です。 魂って分裂するらしいです。だから人口が増えるんですって。 で、この馬鹿妄想が生まれたって訳です。 ○王子はロイが好きなんだけど、ロイはそんな王子からずっと逃げてます。 …深い理由は無かったんですが、王ロイっぽくしたかったんです。 なので、追いかける王子と逃げるロイって関係になりました。 …こんくらいかな? あぁ、人の引いて行く音が聞こえる orz では、以上の設定を読んで「ドンとこい!」って方は進んで下さい。 |
「ごめんなさい、ロイ君。私、やっぱり王子が…好きなんです…」 人気の無い廊下に、リオンの気まずそうに押さえられた声が溶けて消えた。 俺はその答えを予想していたから、そんなに傷つく事は無かった。 ”そんなに”って程度で、確かに俺は傷ついてはいた。 だけど、何とかリオンの前で泣き出す様な無様な事はしないで済んだ。 「…そうか。ごめんな、俺こそ突然こんな事言ったりしてよ…」 俺がそう言うと、リオンは軽く頭を下げて去って行った。 多分、王子さんを捜しに行くんだろう。 俺はその背中が見えなくなる迄眺めると、くるりと後ろに向き直る。 「で、何時迄隠れてるつもりだよ、王子さん」 俺はずっと感じていた気配のする方を睨みつけて言った。 俺とリオンが話していた少し後ろの曲がり角、きっとリオンから死角になる程度内側。 王子さんは、俺がリオンに話し掛けた時からずっと其処に居る。 確信を持って俺が其処を睨んでいれば、たった今リオンが捜しに行った本人が微笑みながら現れた。 「はは、やっぱりロイには分っちゃうか。此れでも上手く気配消してたんだよ」 だからリオンは僕が此処に居るって気付かなかったでしょ、そう言いながら王子さんは俺へと近寄って来る。 俺は一歩一歩近づいて来る王子さんを黙って睨みつけた。 理由も無く、ただ我武者らに逃げ出したくなる。 俺は王子さんが苦手だ。怖い。 その理由を俺は理解っている…。 「……認めたくねーけど、アンタ以外が隠れてたら分んなかったぜ。…アンタだから分ったんだ」 きっと俺は今、苦虫を噛み潰したみたいな顔をしているんだろう。 そんな俺に王子さんは嬉しそうに笑うと、俺の手を取って言った。 「僕だってロイの気配なら、どんなに消されてたって分るよ。だって僕たちは”同じ”なんだから」 王子さんは俺の手に唇を寄せて、羽の様なキスをした。 俺は手の甲に触れるその渇いた唇を忌々しく感じて、その手を振り払った。 「やめろっ!……王子さん、アンタ悪趣味だぜ。俺がふられるとこ見て楽しいかよ」 怒鳴った自分に少し嫌気がさして、俺は自分を落ち着けようと話題を変える。 …その話を、俺は未だアンタとしたく無いんだ。 「うん、愉しいよ。だって、ロイがふられる度、ロイは結局僕の物なんだって確認出来るじゃない」 だけど王子さんはそんな俺を御見通しで、俺が避けていた事を言うとにこ りと微笑んだ。 俺は自分が震えているのに気が付いた。 でも、俺はその震えを止める事は出来なかった。 そんな俺に追い討ちをかける様に王子さんは話し続ける。 「ねぇ、ロイ。いい加減認めちゃいなよ、僕たちは一緒に居るべきなんだ」 元は一つだったんだから、そう王子さんが俺に囁いた。 「 っ!!」 嫌だ、嫌だ嫌だ、そんなの認めるか。 認められる訳が無い。 認めてしまったら、俺はいったい何の為に何万年も逃げ続けてきたんだ。 「結局さ、ロイは僕以外だったら誰でも良いんだよ。唯僕と一緒に居る自分が認められないだけなんだから」 リオンじゃなくたって良いんだよ、王子さんのその言葉に俺は泣きそうになる。 何時の間にか振り払った筈の俺の手は王子さんに掴まれていて、逃げ出す事すら出来そうに無かった。 「ち、違うっ!…俺は、俺はリオンが好きなんだ……」 身体に力が入らない、こんな泣きそうな声じゃ説得力が無い。 視界がぼやけてきて、でも俺は其れが溢れない様に必至になる。 「あはは、リオンは前の時に君が好きだった人に似てるからね。…結局その程度の理由なんだよ」 「ち、ちが…」 咽の奥に見えない何かが詰まったみたいに声が出ない。 さっきより更に視界がぼやけて来る。 「それに、ロイは本気で僕から逃げたいって思って無いじゃない。本気で僕から逃げたかったら、フェイレンみたいに君の事が好きな女の子と一緒になれば良いんだから」 結局、ロイだって僕の事が好きなんだよ。王子さんが俺の耳に顔を寄せて囁く。 なんでアンタは何時もそうなんだ。 俺が必至になって隠そうとしている事をべらべら暴いて。 俺がどんな想いかなんて、理解ろうともしないんだ。 「泣かないで、僕の魂の片割れ。僕は君を泣かせたい訳じゃないんだ」 ぼやける視界の中、王子さんの顔が近づいてきて、目尻に温かい感触がした。 ちゅっと軽い音を立てて王子さんは俺の涙を嘗め取り、一旦顔を離すと反対側の目尻に溜まった涙も嘗め取った。 「僕は君が好きだよ、それだけで良いじゃないか。…今生で気持ちの整理がつかないなら、また次の時で良いから。だから…だから、これ以上僕の気持ちを拒否しないで」 せっかく二人同じ想いなのに、これじゃあ悲しいよ…。そう言って王子さんは悲し気に微笑んだ。 俺はそんな王子さんの表情を見て、苦しくなる。 そうだよ、確かに俺もアンタに惹かれてる。 でも、でも俺は……。 「もう少しだけ、後少しで良いから待っててくれ…」 結局、俺は何時だってこう言ってアンタから逃げ続けるんだ。 ”円環無限” |