貪る様に求め合って、獣みたいに交わる。 脱ぎ捨てられた服は部屋の隅で寂し気に散らばって、月明かりに浮かぶ。 熱い。身体も、吐息も、自分も相手も何もかもが。 熱さと悦楽に霞む思考の中、何処か自分を冷静に見ている自分がいた。 時間があれば俺達はこんな事ばかりしている。 俺は王子さんが好きなのか、それとも此の行為が好きなのか。なんだか訳が分からなくなって、柄にも無く泣きたくなった。 王子さんだってそうだ、俺が好きなのか、ただヤりたいだけなのか。俺に其の答えを知る術なんか無くて。 俺達は何もかもが不安定だ。確実な物なんて何一つ無い。 もしあるとすれば今此の瞬間の快楽ぐらいで、其れ以外で俺達が共感出来る物なんか無いんだ。 思考も思想も、目指す理想だって同じじゃない俺達。そんな俺達が唯一共感する事が出来るのが此の身体を繋げる事で得られる快楽。 こうやって繋がっている間だけは、ほんの少しだけど王子さんを近くに感じられる。 王子さんも俺と同じなんだと、俺と同じ様に感じているんだと。 俺のいる所迄王子さんが降りて来てくれた気がして…。 馬鹿みたいだ、くだらない、そんな物は幻想だ。 結局此の行為が終れば王子さんは遠くに行っちまうし、こんな行為なんか直ぐに終っちまう。 一瞬の、瞬きみたいな幻想なんだよ。こんな物。 けど、もし此の瞬間が永遠になるのなら…。 “俺たちに明日なんて必要無い” 王子さん、俺はアンタを手放す気なんか更々無いんだよ。 俺の世界が終るなら、アンタの世界も道連れだ。 なんて熱烈な愛の告白だろう!!王子さん、アンタ幸せ者だぜ。だって、こんなに愛されてる。 王子さんの背中に腕を回しながら、俺は小さく笑った。 終 *** タイトルを境にロイがふっ切れて攻め臭くなってる orz 精神的に攻めだろうがロイは挿れられる方でお願いします。でも、襲い受けだけは勘弁して下さい。 |