09.一粒残らず君を喰らう 「…んっ」 びくんとロイの肩が跳ねる。 僕はその反応が面白くて、口に含んだロイの指を更に刺激する。 舌で指を包み込む様に舐め上げ、軽く歯を立てる。 指の股を舐め上げれば、ロイは更にびくつく。 「やぁっ…王子さん…」 顔を紅潮させ、目尻に涙を溜めて僕の与える刺激に耐える君は酷く扇情的だった。 ロイ、君の指は甘いよ。 キスする度に思うけど、君は唇も甘いんだ。 だから、きっとロイは体中が甘いんじゃないかと僕は思うんだ。 ……食べてみたいな。 そう思ったとたん、僕は無意識の内にロイの指に強く歯を立てていた。 「痛っ!!」 ロイが短く叫んで、それで僕は漸く自分がロイを噛んでいたのに気付いた。 口の中にはロイの血の味が広がっている。 血なんて戦場で慣れている筈なのに、ロイの血は其れ等とは全く違う様に感じた。 あぁ、やっぱりロイは全部が甘いんだ。だって此の血すら甘いんだから…。 もっと其れを味わいたくて、僕は血の滲む噛み後に舌を這わせた。 何度も其処を舐めあげていると、ロイの様子が変わって来た。 突然噛んだ事により青ざめていた顔は先程と同じ様に紅潮し、強張っていた身体は快楽によってか小さく震えている。 「はぁっ…もう、離せ…ぇ……頼むか…らぁ…っ!!」 ロイの足はがくがくと震えて自分すら支えられない様子だった。 僕はロイを片手で抱き込むと、更にロイを追詰める為に舌を動かした。 ロイをもっと味わいたい。ロイの嬌声を聞きながら僕はそう思った。 きっと此の衝動は僕に君を喰らわせるだろう。 ロイ、もしそうなったとしても安心して良いよ。 僕は一粒残らず君を喰らうから。 君は誰にも渡さないよ…。 終 |