13.身も心も焼き尽くしてあげる

 皆の寝静まった夜更け。でも僕の部屋は静寂とは無縁だった。
 熱を孕んだ互いの吐息とロイの嬌声が響き、夜の静寂へと溶けて行く。
「あっ王子…さ……も、だめぇ…っ!!」
 僕を受け入れたロイは涙を零して僕にしがみついて来る。
 剥き出しの背中に爪を立てられて、僕は小さく息を詰めた。でも、其の痛みすらロイの与える物だと思うと愛おしく感じる。
 欲望の侭ロイを追詰めていけば、ロイは僕を締め付けて来た。
「…くっ」
 達してしまいそうになるのを堪えて、僕は更に動きを早める。
 今迄の経験から知っているロイの感じる場所を突いてやれば、ロイはびくびくと打ち上げられた魚の様に身体を跳ねさせた。
「ひぅっ! …ぁ…熱、い…王子さん…のっ……あぁっ!!」
「ロイ…っ」
 きゅうきゅうと締め付けて来るロイの中は酷く熱くて、僕は自分の息が更に上がって行くのを感じた。
 それに、ロイも僕を熱いと感じてくれているのが嬉しかった。
 ロイ、もっと僕を感じて。
 僕の熱を。
 自覚の無い侭、どんどん僕の動きは速くなっていく。
 僕の動きに合わせてロイの身体が揺さぶられるのに、僕は僅かな優越感を覚える。
「…やっ……ああっ! …もう、やめ…ファルーシュ……ッ!!」
 此の熱で、君の身も心も焼き尽くしてあげるから。
 白濁の飛沫を上げるロイに、一際強く突き入れて僕もロイの中へと熱を放った。
 ぐったりとベットに沈み込むロイの身体に口付けを落としながら、僕は解放の余韻に浸る。
 感覚が鋭敏になった身体に唇を這わす度、ロイの身体はびくびくと震える。
 其の反応が酷く愛おしくて、僕は繋がった侭の状態でロイを抱き締めた。
「あっ!!」
 動いた事によって刺激されたのか、ロイの甘い悲鳴が上がった。

 愛しいロイ、僕は君の全てを手に入れる。
 僕はロイの足を抱え直すと、再び腰を動かし始めた。
 一度は静まった僕の部屋に、もう一度ロイの嬌声が響く。
 夜は未だ明けそうに無い。